研究課題
本研究は、放射性試料中のアクチノイドおよび放射性Srに対する安全な分析法として、被ばくリスクの低減が見込める分析システムであるキャピラリー電気泳動法(CE)やポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)などの電気泳動分離場を基盤とする精密分離-超高感度検出-回収法の確立を目指すものである。そのため、精密分離-超高感度検出-回収法の確立に必要なこれまでになかったCEやPAGEで機能するNpイオン(NpO2+,NpO22+)およびSrイオン(Sr2+)用蛍光プローブを開発するとともに、精密分離回収技術の開発を目指している。令和元年度は、NpイオンおよびSrイオン用蛍光プローブを開発するため、金属イオン結合部位の化学ライブラリー(4座非環状型、6~8座非環状・大環状型のポリアミノカルボン酸骨格)を用いて、配位骨格の探索を行った。その結果、Srイオンに対して、8座大環状型のポリアミノカルボン酸骨格が適していることがわかった。また、精密分離回収技術の開発において、CEを用いた精密分離回収法に関する成果をとりまとめ、投稿論文として公表した。令和二年度は、蛍光プローブの開発において配位骨格の探索を行い、Npイオンに対して、4座非環状型のポリアミノカルボン酸骨格が適していることがわかった。また、Srイオンに対しては、前年度までに見出した配位骨格を用いて蛍光プローブを開発し、放射性Srを分離回収することに成功した。令和三年度は、Npイオンに対して、前年度までに見出した配位骨格を用いて蛍光プローブを開発し、放射性試料の分析へ適用するための試験を進めた。また、開発した蛍光プローブをPAGEに適用し、金属イオンの分析に適用した成果を投稿論文として公表した。本研究により、放射性試料中の極微量のアクチノイド及び放射性Srに対する新しい分析法を開発することができた。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
分析化学
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Environmental Science & Technology
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