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2022 年度 実績報告書

キチン誘導体の選択的変換反応の開拓とその体系化

研究課題

研究課題/領域番号 19K15608
研究機関東京理科大学

研究代表者

佐川 拓矢  東京理科大学, 工学部工業化学科, 助教 (90829582)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードキチン / 糖アルコール / 脱水縮合 / 炭酸エステル / アミノ酸
研究実績の概要

キチンは窒素原子を含む糖の高分子であり、含窒素有機化合物の原料としての利用が期待される。しかし、キチンを出発物質とした有用化学品への効率的な変換は達成されていない。これは糖の化学的な不安定さが原因であるが、従来は糖を出発物質とした変換法の開発が行われてきた。そこで、本研究では糖を水素還元することによって得られる糖アルコール2-アセタミド-2-デオキシソルビトール(ADS)を出発物質とした有用化学品の合成経路の開拓を行った。まず、医薬品やポリマーの原料となる2-アセタミド-2-デオキシソルビトール(ADI)の合成を、ADSの酸触媒による分子内脱水縮合反応により行った。ADSに対して触媒量のトリフルオロメタンスルホン酸を用いて反応を行い、ADIを最大33%の収率で得た。収率が上がらない理由を明らかにするために量子化学計算を行ったところ、ADSのアセトアミド基の酸素原子が酸のプロトンを捕捉するため、ADSの分子内脱水縮合反応には大量の強い酸が必要であることがわかった。そこで、プロトンの捕捉を阻害するために酸素との親和性が高いルイス酸を添加し、ブレンステッド酸と組み合わせて反応を行ったところADIの収率は40%まで向上した。続いて、ADIの誘導体として、炭酸ジメチルとの反応によりポリウレタン前駆体である2-アセタミド-2-デオキシイソソルビド-5-イル メチルカルバメート(AD5M)を合成した。反応条件の検討の結果、ADIのエステル化は塩基触媒の添加により促進され、反応温度が150 °Cのとき高収率でAD5Mが得られることが分かった。特に、炭酸水素カリウムを塩基触媒として用いた場合、収率83%でAD5Mを得た。以上より、キチン由来の糖の誘導体であるADSを出発物質とした有用化学品への反応経路を考案し、ポリウレタンの原料となるAD5Mの合成を達成した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Catalytic Synthesis of Oxazolidinones from a Chitin-Derived Sugar Alcohol2022

    • 著者名/発表者名
      Sagawa Takuya、Kobayashi Hirokazu、Murata Chinatsu、Shichibu Yukatsu、Konishi Katsuaki、Hashizume Mineo、Fukuoka Atsushi
    • 雑誌名

      Bulletin of the Chemical Society of Japan

      巻: 95 ページ: 1054~1059

    • DOI

      10.1246/bcsj.20220106

  • [雑誌論文] Selective Synthesis of Oligosaccharides by Mechanochemical Hydrolysis of Chitin over a Carbon‐Based Catalyst2022

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Hirokazu、Suzuki Yusuke、Sagawa Takuya、Saito Makoto、Fukuoka Atsushi
    • 雑誌名

      Angewandte Chemie International Edition

      巻: 62 ページ: e20221429

    • DOI

      10.1002/anie.202214229

  • [学会発表] 固体酸触媒を用いたキチン由来糖アルコールの脱水縮合反応2023

    • 著者名/発表者名
      杉山 拓生,佐川 拓矢,橋詰 峰雄
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [学会発表] Synthesis of Oxazolidinone Compounds from Sugar Alcohol Derived from Chitin2022

    • 著者名/発表者名
      Takuya SAGAWA, Hirokazu KOBAYASHI, Mineo HASHIZUME, Atsushi FUKUOKA
    • 学会等名
      The 9th Tokyo Conference on Advanced Catalytic Science and Technology (TOCAT9)
    • 国際学会
  • [学会発表] キチン由来糖アルコールを原料としたバイオベースプラスチックモノマーの触媒的合成2022

    • 著者名/発表者名
      佐川 拓矢,池田 新,橋詰 峰雄
    • 学会等名
      第130回触媒討論会
  • [学会発表] キチン誘導体の触媒的カルボニル化に対する反応条件の検討2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤 秀真,佐川 拓矢,橋詰 峰雄
    • 学会等名
      第12回CSJ化学フェスタ2022

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公開日: 2023-12-25  

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