研究実績の概要 |
本研究では、グリーン合成プロセスの実現に資する、窒素・ホウ素ドープカーボンアロイ(BNC)固体塩基触媒の開発を目的とする。前年度(令和元年度)は、カーボン材料へのBNドープがカーボンアロイの塩基触媒活性を著しく向上させ、高い塩基触媒活性の発現には、B、N、Cの共存が重要であることを明らかにした。本年度(令和2年度)は、BNCの表面元素組成および表面化学状態と塩基触媒活性の関係に関して検討を行った。すなわち、BNCを種々の熱処理条件により調製し、得られたBNCのBNドープ量およびBNの化学状態が触媒活性に及ぼす影響を検討した。前年度と同様に、BNCは、窒素含有ポリマーであるポリアクリロニトリルを、種々の濃度の塩化ホウ素ガス(BCl3)流通下で熱処理することにより調製した。また、塩基触媒活性は、ベンズアルデヒドとシアノ酢酸エチルを基質としたKnoevenagel反応により評価した。X線光電子分光測定より得られた表面元素組成を検討したところ、BNC調製時のB源ガス(BCl3)濃度の増加に伴い、導入されるB, N量が大きくなることが分かった。さらに、調製したBNCの塩基触媒活性と表面化学状態を検討した結果、塩基触媒活性発現には、B-N-C型窒素の存在が重要であることを明らかにした。また、BNCのリサイクル反応試験を行った結果、リサイクル回数の増加に伴い、塩基触媒活性が低下することが分かった。この触媒劣化は、塩基触媒反応中に生成する水による、BNサイトの加水分解に起因することを明らかにした。
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