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2019 年度 実施状況報告書

ラセン高分子の記憶操作技術に基づく高感度キラルセンシング

研究課題

研究課題/領域番号 19K15621
研究機関金沢大学

研究代表者

廣瀬 大祐  金沢大学, 物質化学系, 助教 (60806686)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードポリアセチレン / らせん誘起 / 記憶 / 不斉増幅 / ビフェニル
研究実績の概要

キラリティの識別法は、エナンチオマーが異なる薬効を示す可能性を持つ医薬・農薬分野において不可欠な技術である。ラセン構造を記憶として保持することが可能な側鎖にビフェニル構造を持つポリアセチレン誘導体 (poly-1) のキラルセンシングにおける適用限界を明らかにするために、本年度において以下の検討を行った。
1)揮発性キラル化合物の蒸気キラルセンシング:フィルム状態のpoly-1をキラルアルコールなどの蒸気に晒した後にフィルム状態の円二色性(CD)測定を行った。キラルアルコールのキラリティによってラセン構造が誘起されたことに由来すると思われるCDスペクトルが得られたものの、そのスペクトル波形は溶液状態のものと比較して大きく変化しており、フィルムの異方性の影響を排除することは困難であった。Poly-1のラセン記憶特性を用いて同様のラセン誘起操作を行った後に、冷やしたヘキサンに溶解させ溶液状態でラセン記憶由来のCDスペクトルを確認することで、異方性の影響を排した蒸気キラルセンシングが可能であった。
2)アミン化合物の高感度キラルセンシング:アミノ酸などの生体関連物質にみられるキラルアミンの高感度検出を指向して、当初計画に従い側鎖末端にクラウンエーテル構造を持つ類縁体poly-2を合成した。興味深いことにpoly-2のキラルアンモニウム塩に対する応答性を調査したところ、側鎖上のメトキシメトキシ(OMOM)構造のみで十分にアンモニウムを効率的に認識している可能性が明らかとなった。そこでクラウンエーテル部位を持たないpoly-1に対して適切なカウンターアニオンを有するキラルアンモニウム塩を加えたところ、従来と同程度の誘起CDを得るために必要なキラルゲスト量を約10000分の1に削減することが可能であり、キラルセンシングの高感度化が確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

ラセン構造を記憶として保持することが可能な側鎖にビフェニル構造を持つポリアセチレン誘導体 (poly-1) のキラルセンシングにおける適用限界を明らかにするために種々の検討を行い、得られた成果を以下に記載する。
1)揮発性キラル化合物の蒸気キラルセンシング:フィルム状態のpoly-1をキラル化合物の蒸気に晒しフィルムをそのまま円二色性(CD)測定機で評価する簡便な操作のみで、揮発性キラル化合物の蒸気キラルセンシングが可能であることを明らかにした。さらに、ラセン記憶特性を利用して得られたフィルムを溶解させた後にCD測定することで、異方性の影響を排したCDスペクトルを得ることに成功した。
2)アミン化合物の高感度キラルセンシング:当初計画に基づき合成したポリマーのアンモニウム塩に対するキラルセンシング特性を詳細に評価したところ、poly-1が元々有している一般的には分子認識部位として利用されることの少ないメトキシメトキシ構造が有効な分子認識部位として機能することが明らかとなり、キラルセンシングに必要なキラル化合物の量を劇的に削減することに成功した。
以上の研究進捗状況から、当初計画以上の成果が得られていると判断した。

今後の研究の推進方策

Poly-1のキラルセンシングにおける適用限界を明らかにするために、前年度の成果を基に次の研究内容を進める。
1)揮発性キラル化合物の蒸気キラルセンシング:前年度までに確立した蒸気キラルセンシング手法の適用限界を明らかにする。具体的にはキラル炭化水素などの高難度なセンシング対象においても適用することができるか、またそれらのセンシング感度を増大させる手法の改良検討を行う。
2)アミン化合物の高感度キラルセンシング:前年度に明らかとなったアンモニウム塩に対する高感度キラルセンシングの詳細を明らかにする。これまでに想定されていなかったメトキシメトキシ構造とアンモニウム塩間の分子認識機構を明らかにするとともに、本手法の基質適用性や検出限界を明らかにする。
3)高難度キラルセンシング:同位体キラル化合物やクリプトキラル化合物などのキラリティの検出が非常に困難とされる検出対象に対して、前年度の1,2で得られた研究成果を参考にpoly-1の適用可能範囲を明らかにする。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Helix-Sense-Selective Synthesis of Right- and Left-Handed Helical Luminescent Poly(diphenylacetylene)s with Memory of the Macromolecular Helicity and Their Helical Structures2020

    • 著者名/発表者名
      Maeda Katsuhiro、Nozaki Mai、Hashimoto Kengo、Shimomura Kouhei、Hirose Daisuke、Nishimura Tatsuya、Watanabe Go、Yashima Eiji
    • 雑誌名

      Journal of the American Chemical Society

      巻: 142 ページ: 7668~7682

    • DOI

      10.1021/jacs.0c02542

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Three-State Switchable Chiral Stationary Phase Based on Helicity Control of an Optically Active Poly(phenylacetylene) Derivative by Using Metal Cations in the Solid State2019

    • 著者名/発表者名
      Hirose Daisuke,Isobe Asahi,Quinoa Emilio,Freire Felix,Maeda Katsuhiro
    • 雑誌名

      JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY

      巻: 141 ページ: 8592~8598

    • DOI

      10.1021/jacs.9b03177

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Macromolecular helicity control of poly(phenyl isocyanate)s with a single stimuli-responsive chiral switch2019

    • 著者名/発表者名
      Fukuda Mayu、Rodriguez Rafael、Fernandez Zulema、Nishimura Tatsuya、Hirose Daisuke、Watanabe Go、Quinoa Emilio、Freire Felix、Maeda Katsuhiro
    • 雑誌名

      Chemical Communications

      巻: 55 ページ: 7906~7909

    • DOI

      10.1039/c9cc03555a

    • 査読あり

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公開日: 2021-01-27  

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