Vitrimer材料は、共有結合架橋が施されているにも関わらず、高温で結合交換が進行し、修復性・リサイクル性・接着性など、実用上の有用機能を発現する。そのため、その物性制御法の確立は、実用展開において重要となる。本研究課題では、vitrimer材料の新規物性制御法を確立することを主な目的として遂行している。 2019年度では、「架橋密度」と結合交換時間スケールついて、我々オリジナルのモデルポリマーを用いて、これらの相関を詳細に抽出した。2020年度は、Dual架橋性vitrimerに関して、申請者オリジナルの方法を用いて、アイオノマー型vitrimerの調製法を確立した。イオンクラスター構造の形成により、結合交換特性がどのように影響されるか、という問いについて検討した。2021年度は、目的とする結合交換型動的共有結合架橋性材料(vitrimer)の新たな展開として、ワンショットでの簡便な調製法の確立を目指した。助成期間内では、国際査読付き学術誌への論文掲載や総説掲載、また、国内学術専門誌への解説論文寄稿を多数行うことができ、有意義な研究が遂行できたと言える。
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