研究実績の概要 |
本研究の目的はAXS(Anomalous X-ray Scattering) 法およびRMC(Reverse Monte-Carlo simulation)法をドッキングしたAXS-RMC法を駆使して、非晶質合金における構成元素の種類が関わる構造的特徴を正確に再現した非晶質構造モデルを作成し、CNA (Common neighbor analysis)とBernal多面体を組み合わせた、新しい非晶質構造評価手法を用いて非晶質金属の短距離-中距離領域の精密構造解析を行うことである。上記手法を用いて以下の研究成果を得た。一連の研究成果から、新規構造解析手法であるCNA-Bernal多面体解析が、非晶質金属の短距離-中距離構造を評価するために有効であることを示した。 (1)Zr-Pt非晶質合金におけるPt-Pt中距離相関が高密度のZrに富む領域([333]CNで表現される四面体連結構造)と低密度のPtに富む領域(非Bernal多面体に分類される[211]CN)の形成が中距離規則性の発達に寄与していることが明らかとなった。 (2) Nb-Ni系非晶質合金においては最近接領域におけるNb-Nb結合距離が変化することで, DRPモデルでは説明不能な局所的密度不均質性が導入されていることが明らかとなった. (3) Hf-Coおよび Hf-Ni 系非晶質合金においてもNb-Ni非晶質剛毅における同種元素ペアの短距離および長距離化が生じていることを示し、DRPモデルでは説明不能な同種元素相関が高GFAを有する遷移金属非晶質合金における基礎的な構造規範の一つである可能性が示された.
|