研究課題/領域番号 |
19K15664
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研究機関 | 一般財団法人ファインセラミックスセンター |
研究代表者 |
末廣 智 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 上級研究員 (70736818)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | レーザー / SiC / 複合材料 / ダイヤモンド |
研究実績の概要 |
本研究では、レーザー照射下で容易に進行するSi+C→SiCの固液反応を利用し、またレーザー吸収係数の違いによるSiC結合相の選択的加熱によりダイヤモンドの相転移を抑制することによって、従来法では不可能なC(dia)/SiC複合材料の材料の作製することを目的とする。 前年度までにSiとダイヤモンド(C)の混合粉末成形体にレーザー照射することで、ダイヤモンド-SiC複合材料を作製できることを見出した。しかし、得られた試料は遊離Si量が多く、焼結密度が低いなどの課題があった。熱伝導率の高いC(dia)/SiC複合材料を作製するためには、レーザー照射下でのダイヤモンドとSiの反応機構の理解することが必要不可欠である。 そこで上記現象を理解するため、Siウエハー上にCVDダイヤモンド板を重ね合わせ、その上方より波長1070nmのファイバーレーザーを照射することで試料の状態変化を考察した。その結果、レーザー照射後の2枚の板状試料は接合しており、微構造観察の結果から界面近傍にSiCが形成され接合していることがわかった。これは、レーザーがダイヤモンドでは吸収されず、Siとダイヤモンドの界面で吸収され、界面近傍にSiCが反応生成したと推察される。この現象を応用すれば、ダイヤモンド間をSiCで結合させたバルク体を作製できると考えられ、高熱伝導を有する複合材料が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レーザーを用いて短時間に緻密焼結体を得るためには、いかに成形体試料の初期密度を上げることができるかが最大の課題である。現在、粒径の異なる原料粉末を準備し、混合比率を変化させたときの焼結密度、微構造、熱物性の関係性について検討している段階である。当初の研究計画にある熱伝導率測定まで行えていないが、この粉末成形プロセスの基礎的な知見は学術的・産業的に重要であり、十分精査した上で熱物性の評価へと進めたい。そして最終年度で新材料としてのプロセス指針を確立したい。
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今後の研究の推進方策 |
・初期密度向上のための原料混合条件の最適化 ・ダイヤモンド/Si界面の微構造観察
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は、コロナ過の影響で予定していた国際会議がすべて中止・延期となり、旅費・学会参加費用分が発生しなかった。
一方で、ダイヤモンド粉末は輸入製品であり、価格が高騰しているため令和3年度分の消耗品費の増加が見込まれる。そのため、令和2年度分のの旅費相当額を令和3年度分の消耗品費に充当したい。
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