研究課題
錯体水素化物は金属と水素からなる籠状の錯イオンを有する材料であり、リチウムのような陽イオンが固体内を高速で伝導することから全固体二次電池の固体電解質への適用が期待される。錯体水素化物におけるイオン伝導の最大の特徴は、温度上昇に従い高温相に構造相転移し、その高温相が10-1 S cm-1以上の超リチウムイオン伝導率を示すことである。即ち、高温相における構造的・動的挙動とリチウム伝導の相関を明らかにすることで新規材料開拓の可能性が導かれる。 令和2年度は、錯体水素化物の高温相の形成原理解明と高イオン伝導性を有する水素化物固体電解質材料の創出を目指して、(1-x)Li(CB9H10)-xLi2(B12H12)擬似二成分系における固溶体と構造相転移の相関および得られた試料のイオン伝導特性を調べた。以下に詳細を報告する。・低x値(0.1≦x≦0.4)において、Li(CB9H10)の構造を有する固溶体が得られた。上記領域では、Li(CB9H10)中の[CB9H10]-錯イオンが[B12H12]2-錯イオンに置換された相が形成された。・xが増加すると、固溶量の増加するとともに、高温相の低温安定化が促進された。特に、x=0.3、0.4において、室温において高温相が安定化され、液体電解質並みの超リチウムイオン伝導率が得られた。・錯イオンの価数が増加すると、イオン伝導の活性化エネルギーが低下し、イオン導電率が低下した。以上より、錯イオンの固溶による高温相安定化は、今後の錯体水素化物固体電解質の材料開拓に向けての重要な設計指針となることが分かった。
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