研究実績の概要 |
高濃度に溶解可能なアルカリ金属トリフレート塩(Liリチウム,Naナトリウム,Kカリウム)OTfを用い、ボトルネックサイズが16 Å程度のジメチルピラゾリルナフタレンテトラカルボキシジイミド亜鉛MOFである[Zn(dmpyr)2NDI]n-MOFのレート特性を比較し、水系Kイオン電池のアドバンテージを確認した。 イオン半径はLi<Na<Kの順であるが、表面電荷密度はLi>Na>Kであり、水和半径がLi>Na>Kであるため、同一OTfアニオンの同質量モル濃度8 mol/kgにおいて、イオン伝導度がLi<Na<Kであった。ジメチルピラゾリルナフタレンテトラカルボキシジイミド亜鉛MOFである[Zn(dmpyr)2NDI]n-MOF負極ハーフセルのレート特性はLi<Na<Kの順で良好であった。一方、プルシアンブルー類似体へのNaおよびKイオン水溶液中でのレート特性はほとんど一緒であった。 これらのレート特性の差は、ストークス半径の小さい溶媒和イオンの高いモビリティを利用するためには、非常に大きなフレームワーク構造を持つMOF等へ、脱溶媒和過程を経ずに水和アルカリカチオンの状態で挿入脱離反応が進行する必要があるという事を示唆している。 一方、水分子との相互作用はLi>Na>Kであるため、Kで最も自由水が多く、水の酸化還元が容易に起こるため電位窓はLi<Na<Kとなり、水系Kイオン電池のサイクル特性はLiおよびNaに劣ることが分かった。
|