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2020 年度 実施状況報告書

水晶振動子マイクロバランス法によるリチウム二次電池の電極反応解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K15682
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

芹澤 信幸  慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (60556885)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードEQCM / リチウムイオン電池 / 合剤電極 / 電極作製 / 共振 / 電極質量変化 / 局所粘性率 / その場測定
研究実績の概要

リチウム二次電池の充放電効率向上,劣化機構の解明や高速充放電の実現には充放電に伴う電極質量変化や電極近傍におけるリチウムイオンの輸送現象の観測が効果的である.本研究では,ナノグラムオーダーの電極質量変化と電極近傍の濃度勾配を反映した局所的な電解液物性(粘性率と密度)の変化を高感度かつその場(in-situ)観測できる電気化学水晶振動子マイクロバランス(EQCM)法を二次電池の電極反応に適用する.塗布電極の作製やセパレーター存在下での測定を通じて,実電池内部を模擬した環境での二次電池の詳細反応解析を試みる.
第二年度にあたる令和2年度はアルミニウムコート水晶振動子上へのチタン酸リチウム合剤電極の塗布に関して,活物質の前処理方法,合剤部材や混合方法等に検討を行うことでより低い共振抵抗で安定に共振する合剤電極を再現良く作製することに成功し,基準振動に加えて高調波振動の共振も確認できた.この電極を用いてチタン酸リチウムの充放電を行うとリチウムイオンの挿入・脱離反応に伴う電極質量変化に対応した共振周波数変化に加えて,粘性率のLi塩濃度依存性の小さい電解液中でも電極近傍における局所物性変化を反映した共振抵抗変化を精度よく計測できた.また,チタン酸リチウム以外の電極材料にも検討を拡張した.
さらに,同一電極上でEQCM測定によるアドミッタンス解析と電気化学交流インピーダンス測定を行うことで,負極表面に形成される固体電解質界面相および電解液との反応性に対する電解液組成の影響を評価できた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

第二年度にあたる令和2年度は当初の予定通り,初年度に得られた合剤塗布電極の作製条件が振動子電極の共振に与える影響に関する知見を活用して,さらに電極前処理方法などに検討を加えることで,より低抵抗で安定に共振する作製条件を見出した.この電極を使用することで,初年度に作製した電極では測定が難しかった粘性率のLi塩濃度依存性の小さい電解液中における局所物性変化を反映した共振抵抗変化の測定に成功した.さらに,従来の構成では同時測定が不可能であった同一電極上でのEQCM測定と電気化学的交流インピーダンス測定を組み合わせた解析にも成功し,負極界面反応の評価を行った.

今後の研究の推進方策

当初の計画通り,今後はこれまでに確立した塗布方法で水晶振動子電極を作製し,実用電池内部を模擬したセパレーター存在下での測定や高感度計測が期待される高調波共振(オーバートーン)での測定を通じて,二次電池の詳細反応解析を行う.さらに,電解液物性と振動子応答の相関係数に対して,EQCM応答に対する影響因子の検討を続ける.

次年度使用額が生じた理由

調達を予定していたホットプレス装置について学内設備を利用することで調達の必要がなくなったため.また,情報収集のために参加を予定していた国内外の学会がオンライン開催となり旅費の支出が不要となったため.次年度使用額と合わせて,2021年度は高精度天秤を調達する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 電気化学反応に伴うイオン液体界面近傍での局所物性変化2020

    • 著者名/発表者名
      芹澤信幸
    • 学会等名
      2020年度イオン液体研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 水晶振動子マイクロバランス測定を用いた溶媒和イオン液体中におけるLi負極界面反応の解析2020

    • 著者名/発表者名
      石本晶悟 芹澤信幸 片山 靖
    • 学会等名
      第52回溶融塩化学討論会

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公開日: 2021-12-27  

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