研究課題/領域番号 |
19K15683
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
源馬 龍太 東海大学, 工学部, 講師 (10803546)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | CO2メタン化 / 水素吸蔵合金 / アトムプローブ |
研究実績の概要 |
近年、地球温暖化の原因となりうる大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が急激に増加しつつ あり、これを緩和する一つの方法として、大気中CO2のメタン化がある。しかし、これまでに開発されたメタン化プロセスでは、最低でも200℃以上の高温が必要とされているため、省エネルギーの観点から異なるプロセスによる低温化が望ましい。本研究では、水素(H2)とCO2からメタン(CH4)を低温下で合成する方法として、LaNi5に代表される水素吸蔵合金を用いたメカノケミカル反応を利用した合成法について検証し、低温下にて有効なメタン生成触媒についての知見を得ることを目的としている。 令和元年度では、LaNi5を用いて異なるボールミリング時間におけるメタン生成量の変化について、GCを用いて定量的に検証した結果、ボールミリング時間の増加と共にメタン生成量が増加することが確認できた。同時に、ボールミリングに伴い粉末試料がアモルファス化していること、およびポット・ボール由来のFe、Crなどが試料中へ混入していることがXRD、EDX測定結果よりそれぞれ示唆された。そこで、ボールミリングの進行とともに変化するナノ構造化した組織のうち、メタン生成にポジティブに関わる組織について、アトムプローブ分析法(APT)により評価を行った結果、Niリッチの金属相と、La、Fe、Crおよびその混合物の酸化物および炭酸化物、炭酸水素化物等に相分離を生じていることが確認された。CO2雰囲気下でLa-Ni系試料をボールミリングした場合、CO2と試料が反応することが確認されており、直後にこの試料をH2雰囲気下でボールミリング処理をした結果、メタン生成が確認されたことから、APTにより確認された炭素を含む化合物がメタン生成の中間体として作用する可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
APTによるナノ組織の評価については、ほぼ予定通り進めることができた。CO2雰囲気下で反応させた試料のAPT測定結果の解析は現在進行中である。初年度は遊星ボールミルを用いた実験を行ったが、現在、振動ボールミルとジーベルツ装置、GCを組み合わせた装置の製作を行っていることから、おおむね予定通りといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度より振動ボールミルとジーベルツ装置、GCを組み合わせた装置を用いた実験を行い、メカノケミカルプロセス中に発生するガスの圧力を測定しながらガス成分を“その場”で定性することにより、ミリング中に生じる反応について詳細に調べる予定である。 また、現在使用しているステンレスポットおよびボールでは試料中へのFe、Crの混入が避けられず、解析が困難となるため、Ni製のポットおよびボールを用いた実験を予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究計画書作成当初は質量分析計を購入する予定であったが、同スペックのものが学内で譲渡された。そこで該当予算を新規に製作するGC+ジーベルツ装置+振動ボールミル複合装置に用いるGCの購入に充当したため、差額が生じた。差額は、高純度ガスなどの消耗品購入に充てる予定である。
|