研究課題
カリウムイオン二次電池(Potassium-ion Battery)は資源及びコスト面での優位性のみならず、現行のリチウムイオン二次電池に匹敵する高電圧電池系が実現可能であることから、次世代大型蓄電池の現実解として有望視されている。カリウムイオン二次電池の研究開発において、我々は新規電極材料として数多くの正極化合物を合成してきた。しかし、正極化合物(Cathode materials)の高電位域・高温域での作動に適合できる電解質(Electrolyte)がない。本研究では、高エネルギー密度カリウムイオン電池の創製を目指して、正極材料に適用する安定な電解質について研究を行った。通常の有機系電解液を正極材料と組み合わせると高電位域で分解し、充放電寿命が短いことが問題であった。そこで、寿命を改善するために、イオン液体(Ionic liquids)とりわけピロリジニウム塩を用いた電解質に着目したところ、様々な正極材料のサイクル特性の改善に有効であることが分かった。4 Vおよび5 V級の正極材料(ポリアニオン系化合物や層状型酸化物や有機系化合物)についても新規に合成し、カリウムイオン電池の高エネルギー密度化を図った。また、カリウムイオンの正極への挿入脱離機構の検討を進めている。高電位正極材料に適用できる安定な電解質を開発した結果、高エネルギー密度カリウムイオン電池の創製の可能が示され、フルセル構築に向けた負極材料の開発にも取り組んでいる。
1: 当初の計画以上に進展している
4 Vおよび5 V作動の新規正極材料に適合できる電解質の開発,さらに充放電過程に伴う様々な正極材料の系統的な固体電気化学的検討が進んでおり、想定を上回る成果を得ており、知財の確保を行い、学術論文として発表している。
今年度までに得られた知見を基に、高電位正極材料の充放電に伴うカリウムの挿入脱離機構を追求し、大型カチオンの安定な作動の理論構築を行う。すでに事前調査が進んでおり、一定の成果を見込んでいる。またカリウム電池のフルセルに向けて、正極材料、電解質に適用できる負極材料の検討を実施しており、4V級のカリウムイオン電池の開発を目指している。さらにカリウムイオン電池の全固体化に向けて固体電解質の開発に取り組む予定である。
該当なし。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 4件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 4件)
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