研究課題/領域番号 |
19K15686
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
吉井 一記 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (80735960)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 電解液 / イオン液体 / カリウム電池 / 金属負極 / 高電位正極 |
研究実績の概要 |
本研究は、次世代蓄電池として注目されているカリウム二次電池の電解液に関して(1)電解液のスクリーニングと体系化、(2)新規添加剤の設計・合成を行うことで、高電位正極と負極に適合する電解液を開発することを目的としている。 申請書の実験予定に従い、1年目の今年度では(1)について注力し研究を実施した。これまでにカリウム二次電池用電解液として有効であることを見出していた、1-methyl-1-propylpyrrolidinium bis(trifluoromethanesulfonyl)amide(Pyr13TFSA)にカリウム塩を溶解したイオン液体電解液について、粘度、密度、イオン伝導度などの諸物性を測定し、1-ethyl-3-methylimidazolium(EMI)TFSAの系と比較した。Pyr13TFSAを用いた電解液では金属カリウムの可逆な析出溶解を行うことが可能であり、4 V級の正極材料および金属カリウムと組合せた電池を構築すると良好なサイクル特性を示した。一方、EMITFSAはイオン伝導度の点ではPyr13TFSAに対して優位であったが、金属カリウム上での分解が進行し、電解液として使用することはできなかった。この結果から、ピロリジニウム系のイオン液体についてさらなるスクリーニング、カーボン負極への適用性についても検討を開始している。この検討によって、本研究の学術的問いのである、電極/電解液界面におけるリチウムイオンとカリウムイオンの振る舞いの違いについて検討可能な系を見つけることができた。 有機電解液系についてもスクリーニングを開始している。既報の電極材料に対して、種々の電解質塩や電解液を組合せて充放電を実施し、電解液依存性について検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、高電圧カリウム電池用の電解液のスクリーニングを行い、イオン液体電解液および有機電解液について、順調に研究を進めることができた。負極については金属カリウム負極だけではなく、カーボン負極への適用の検討も開始しており、本研究の学術的問いのである、電極/電解液界面におけるリチウムイオンとカリウムイオンの振る舞いの違いについても検討可能な系を見つけることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに進んでいるため、基本的な計画に変更はない。 今後はこれまでに得られた知見から、電解液の体系化を進めていく。またカリウム二次電池用の添加剤の合成についても着手し、電解液物性や電池特性について評価を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額が異なった。 研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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