研究実績の概要 |
本研究の目的は混合溶媒を用いたLIB用電解液中におけるanionの役割を電気化学的、分光学的に解析し、科学的理解の伴った新規電解液の開発に繋げることであり、次の3つ課題[1]電解液の伝導度、粘度の実測およびそれらに対するanionの影響の解明、[2]Li+,anion,溶媒の拡散係数の実測ならびに、Li+の拡散挙動および電解液構造とanionの化学構造の関係の解明、[3]電解液構造と電極反応速度の関係の解明、に2019-2020年度の二年間で取り組む計画であった。[1]および[2]については2019-2020年度で完了し、その結果について論文発表を行ったが、[3]についてはコロナ禍の出勤・接触制限の影響で遅れが生じていたため、研究機関を延長して2021年度に一部を実施した。すでに開発していた電極反応の抵抗を抽出できる電気化学セルを改良し、全抵抗成分から電極反応抵抗のみをより精確に分離・抽出できるようになった。解析の結果から電解液構造が異なると電極反応速度も異なるという傾向が見られたが、2021年度もコロナ禍の影響が大きく、課題[3]については体系的にデータを収集することができなかった。一方で、課題[1][2]の取り組みで収集したデータをより深く解析することで、電解液中のイオン輸送特性についての新たな知見が得られ、学会発表等を行った。
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