現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、申請者らが開発した受容体活性制御ツールである増殖因子ミメティクスを利用し、パーシャルアゴニズムの発現機構解明を目指した。
増殖因子ミメティクスは、試験管内進化法(SELEX法)によって獲得可能な核酸アプタマーから構成されている。申請者らは、増殖因子受容体を認識するアプタマーを二量体として利用することで、天然増殖因子と同様に受容体の活性化が可能であることを実証している(Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 579.)。このミメティクス分子はDNAから構成されるため、塩基配列によって構造を自在に規定可能であり、受容体のクラスタリング形式(距離・配向)を精密に制御することができる。また、受容体に対する結合部位の特定もなされており、塩基配列の変異による親和性の調節も可能である(Chem. Commun. 2014, 13131.)。
本年度は肝細胞増殖因子(HGF)の受容体である Met を標的として検証を実施した。これまでに Met に対する核酸アプタマーの分子設計に応じて、最大受容体リン酸化量(Emax)の値が低下したパーシャルアゴニストが得られることが見出されている。本年度は、これら異なるEmax値を示す増殖因子ミメティクスによる受容体リン酸化挙動の比較、細胞挙動への影響を評価した。Met発現細胞を用いた評価は円滑に進行し、これらの成果はプレプリント公開の後、論文投稿中である。また、次年度の研究計画に向けた予備実験も順調に進行中である。
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