研究課題
アルツハイマー病はアミロイドβ(Aβ)オリゴマーが引き起こす細胞死が発症に関与すると示唆されている。しかし、Aβオリゴマーは細胞の様々な箇所に存在しており、どこで病的な作用を発揮しているかは不明である。申請者は、細胞の特定の箇所に局在するAβオリゴマーを選択的に減少させることができれば、細胞死のトリガーとなる作用を見出すことができると着想した。そこで、Aβを分解可能なプロテアーゼに注目した。種々のプロテアーゼにAβオリゴマー選択性を付与し、局所的Aβオリゴマーを下げた細胞集団を解析することで目メカニズム解明が達成できると考えた。前年度までに、申請者が開発してきたAβオリゴマー結合ペプチド(Oligomer-Binding Peptide; OBP)を、Aβの分解に関与する亜鉛メタロプロテアーゼであるネプリライシンに融合した「OBP融合ネプリライシン」を開発した。Aβを分解可能な酵素活性を十分有する融合プロテアーゼを開発できたが、Aβオリゴマー結合活性を確認できなかった。OBP融合ネプリライシンがAβオリゴマーに結合した際、Aβオリゴマーを分解してしまい、OBP融合ネプリライシンが解離してしまうことが原因と考え、ネプリライシンの選択的阻害剤存在下で結合アッセイを再度実施した。しかしAβオリゴマーへの結合は観察できなかった。申請者は本研究の開始以前に、Aβオリゴマーへの強い結合能を示す、OBP融合アルカリホスファターゼを開発している。アルカリホスファターゼはホモダイマー、ネプリライシンはモノマーであるという構造的差異があることから、OBPは二価になることで十分な結合活性を示す可能性が考えられた。ネプリライシンには、N末端だけでなくC末端にもOBPを融合することで、Aβオリゴマー結合性を示す可能性が示唆された。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 6件)
Vet Pathol
巻: 60 (2) ページ: 203-213
10.1177/03009858221148511
ACS Chem Biol
巻: 17 (7) ページ: 1703-1713
10.1021/acschembio.1c00904
Int J Mol Sci
巻: 23 (23) ページ: 14588
10.3390/ijms232314588
Journal of Molecular Liquids
巻: 366 ページ: 120175
10.1016/j.molliq.2022.120175.
巻: 23 (12) ページ: 6467
10.3390/ijms23126467
J Mater Chem B
巻: 10 (43) ページ: 8960-8969
10.1039/d2tb01638a
Chromatography
巻: 43 (2) ページ: 73-77
10.15583/jpchrom.2022.008