研究課題/領域番号 |
19K15700
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
ゾウ ティンティン 九州工業大学, 大学院工学研究院, 特任助教 (30828637)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | DNA四本鎖 / クラスター / 環状ナフタレンジイミド / ペプチドリンカー |
研究実績の概要 |
染色体末端のテロメアDNAは4つのグアニン(G) 塩基が水素結合によって4本鎖DNA構造(G4)を形成する。細胞分裂に従いテロメアが短縮され細胞死へと導かれるが、癌のような不死化した細胞ではテロメラーゼによりテロメア配列が伸長される。G4構造に強く結合するリガンドは、テロメラーゼ活性の低下が起こることから、抗癌剤として期待されている。しかし、従来のG4結合リガンドは、多数はテロメア四本鎖への選択性が低いと考えられている。本研究では、研究室が開発したG4リガンド環状naphthalene diimide(NDI)を利用し、初めてペプチドをリンカーとしてcNDIクラスタを創成し、テロメア領域に多く形成する複数なDNA 四本鎖構造を標的とする。これによってテロメアDNA四本鎖への選択性を向上させ、抗がん剤としての応用も期待している。 2019年度は以下の実験を行った: (1)分子混雑条件下、cNDI系の化合物とDNA四鎖の相互作用の解析:結合能力(ITC,UV-Vis)と四本鎖安定効果(Tm)などを検討した。また、cNDI系化合物はDNA四本鎖構造を誘起する効果も検討した;(2)新規G4リガンドpeptide tethered cNDI dimerとmonomerの合成:cNDIとglutamine acidを連結させ、Fmoc-glu(cNDI)-OH(E)を一つのamino acid unitに作製した。何個のGlycine(G)をlinkerとして、monomerのGEGとdimerのGEE、GEGE、GEGGE、GEG7Eを合成した;(3)上記のdimerとmonomer、とDNAの相互作用の解析:CDスペクトルによってリガンドとDNA複合体の構造変化を評価し、TmによってDNA四本鎖安定効果を検討した。ITCでDNAとの結合性能を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)分子混雑条件下で、cNDI系化合物はDNA四本鎖と相当な結合力が保っていることが判明し、その結果はMolecules英文誌に掲載した; (2)一番シンプルなpeptide linkerとして、グリシンを使って、peptide tethered cNDI dimerを四種類合成し、peptideありのcNDI monomerも合成した; (3)以上のcNDI dimerとmonomerは、単独なDNA四本鎖との相互作用を測定し、cNDI dimerがDNA四本鎖構造を顕著に安定する効果が達成し、結合性能も上昇した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の実験予定は (1)peptide tethered cNDI dimerと複数のDNA四本鎖構造との相互作用解析 (2)細胞アッセイなど、peptide tethered cNDI dimerを抗がん剤としての細胞毒性の評価等を行う (3)peptide tethered cNDI multimerの設計と合成
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