糸状菌由来novofumigatoninの生合成に関わる新規異性化酵素NvfEのホモログ酵素、NvfIの詳細なメカニズム解明、生化学的性質についての解析を行った。NvfIはasnovolin Aを基質とし、一回の触媒反応で3つの酸素原子を導入し、fumigatonoid Aを生産する。 昨年度までにNvfIの立体構造を明らかとしたため、活性部位アミノ酸残基に対する変異を導入し、反応に重要なアミノ酸残機を特定するとともに、NvfIの反応性の改変を試みた。基質結合時にコンフォメーションが変化する可動性ループ上に位置するアミノ酸残基Phe127とTrp199をAlaに置換したところ、活性の消失を確認した。また、F127I、W199F変異体においては、活性の低下とともに、新たにasnovolin AのC-13位がアルデヒド化された新規化合物を生成していた。さらに、活性部位において基質と相互作用を形成しているHis138のAla置換体においては、C-2'-C-3'がエポキシ化された化合物が生成していることを見出した。これらの結果より、可動性ループ上のPhe127とTrp199はゲートキーパー残基として、基質の結合様式に重要であり、His138は基質と水素結合を形成することで、基質認識、生成物特異性の制御に重要であることが明らかとなった。また、NvfIの酸素の安定同位体を用いた精密酵素機能解析により、NvfIの反応中において導入される酸素原子のうち、2つは酸素由来、1つは水由来であることが判明した。異常の結果をもとに、NvfIの詳細な反応機構の提唱をおこなった。
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