研究課題/領域番号 |
19K15705
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大石 俊輔 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任助教 (80707795)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | タンパク質化学 / ペプチド化学 / ケミカルバイオロジー / 有機合成化学 |
研究実績の概要 |
化学合成タンパク質のLate-StageFunctionalization法を開発し、構造が均一な様々な修 飾タンパク質を系統的、網羅的に合成することを目的とした。タンパク質を化学的に全合成し、側鎖官能基の反応性を制御することで完全に均一な構造の修飾タンパク質を得ることが 本研究の特徴である。また、このときフォールディング後の活性タンパク質に対し修飾を行い修飾の前後でタンパク質の立体構造を保持し、修飾後に複雑な精製操作無しで生物学実験 に適応できる手法の開発を目指した。 特に本研究では生物学的手法では合成が困難なシステインリッチタンパク質(CRP)を標的としている。CRPは抗菌作用、神経毒性、脂質輸送、植物ホル モンなど様々な機能を持つタンパク質ファミリーであ本研究計画では化学合成手法の開発のみにとどまらず、生命科学研究者との共同研究により生命科学研究への展開を目指す。 本年度は計画に基づき、Fmoc固相ペプチド合成法に適用可能かつlste-stage functionalizationの足がかりとなる人工アミノ酸を合成した。同時に植物性のCRPである植物表皮パターン形成因子(EPF1)の化学合成も達成した。生命科学研究者との共同研究により、合成したタンパク質が生物活性を有することも確認することに成功した。この研究成果は、化学合成タンパク質の生命科学研究への応用としての共同研究に進展している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ヒドロキシルアミンを持つ人工アミノ酸の合成については、光分解性保護機で保護された人工アミノ酸の合成に成功した。これはFmoc固相ペプチド合成法にも適応可能であり、容易にペプチド中に組み込むことが可能である。合成法が確立されたタンパク質への本手法の適用としてはStomegen、EPF2などのタンパク質に本手法を適応を行った。タンパク質合成、精製、そしてリフォールディング操作に関しても本手法が干渉することなく、late-stage functionalizationが実施可能であることを確認することができた。また新規植物タンパク質ホルモンの合成研究として植物表皮パターン形成因子、EPF1の合成を行った。ペプチド の溶解性を向上させるためにイソペプチド法を用いて合成を達成した。合成したタンパク質について、生物活性が確認できただけでなく、生命科学研究者との共同研究に発展していることから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は計画通り、KATモノマーの合成を行う。特に種々の蛍光分子を利用したプローブを複数用意することでマルチカラーイメージングを迅速に行うツールとして発展させる。特に植物表皮パターン形成因子群を用いてケミカルバイオロジー研究への展開を行う。同時に固相への担持を行い、合成タンパク質を自在に用いてアフィニティカラムの作成を行う。プロテオミクスとの連携によって合成タンパク質の相互作用相手となるタンパク質の同定を進め、生命科学研究者との共同研究に発展させていく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画よりも旅費が少なく次年度使用額が発生した。次年度は今年度得られた成果を積極的に発信するための経費が必要となる。
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