化学合成タンパク質のLate-Stage Functionalization法を開発し、構造が均一な様々な修飾タンパク質を系統的、網羅的に合成することを目的とした。タンパク質を化学的に全合成し、側鎖官能基の反応性を制御することで完全に均一な構造の修飾タンパク質を得ることが 本研究の特徴である。また、このときフォールディング後の活性タンパク質に対し修飾を行い修飾の前後でタンパク質の立体構造を保持し、修飾後に複雑な精製操作無しで生物学実験に適応できる手法の開発を目指した。 特に本研究では生物学的手法では合成が困難なシステインリッチタンパク質(CRP)を標的としている。CRPは抗菌作用、神経毒性、脂質輸送、植物ホルモンなど様々な機能を持つタンパク質ファミリーであ本研究計画では化学合成手法の開発のみにとどまらず、生命科学研究者との共同研究により生命科学研究への展開を目指す。 研究期間全体を通じて、植物表皮パターン形成因子(EPF)の化学合成法の開発とタンパク質の機能解析のための修飾タンパク質の効率合成法の開発に取り組んだ。活性型のEPFタンパク質を得たあと、部位特異的な反応によって化学修飾を行う方法であり、さまざまなEPF誘導体を迅速に得ることが可能である。これにより、個別のバイオイメージング実験に適した蛍光色素の種類などの探索に有用である。 最終年度には、論文発表に向けた補足的な実験データの取得やデータの整理、原稿の執筆を行い、国際学術誌での成果発表を行った。
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