RNA修飾の一つであるシュードウリジンが遺伝子発現の微調節に関与することが明らかにされる中、RNA中におけるその修飾位置を決定するシーケンシング法の開発が望まれている。本研究では、シュードウリジン特異的なラベル化分子を開発し、シュードウリジンの高精度シーケンシングを可能にする基盤技術の確立を目指した。具体的には、分子間相互作用を介してシュードウリジンを選択的にアルキル化する分子の開発を行った。 2020年度は、シュードウリジンを選択的にラベル化可能な反応性分子の構造改良と機能評価、および塩基欠損部位を有する相補鎖DNAを用いた配列特異的なアルキル化反応について検証を行った。具体的には、RNAへの結合を促進させる補助ユニットとして、ナフタレンイミドを有する誘導体の合成を行った。これらの誘導体を、シュードウリジンを組み込んだRNAと反応させた。その結果、ラベル化反応は観察されたものの、その収率は極めて低い結果が得られた。そこで、塩基欠損部位を有する相補鎖DNAを用いる方法論を検証することにした。このような相補鎖DNAを用いることで、標的RNAと二重鎖形成した際にラベル化分子が結合可能な疎水ポケットを作り出すことが可能となり、反応性の向上が期待できると予想した。実際に、塩基欠損部位をもつ相補鎖DNAの存在下にて、シュードウリジンを組み込んだRNAに対してラベル化分子を反応させたところ、RNAに対するラベル化反応が進行することを見出した。
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