本研究は安全性に優れた新規抗がん剤のリード創製を目的に、ミトコンドリア呼吸鎖複合体I(complex I)を分子標的としたインターベノリン(以下ITV)の構造を基盤に医薬開発研究を展開した。その結果、約150種の類縁体から、シードであるITVよりもin vivoでより効果的な治療効果を示し、加えて代謝安定性にも優れた化合物を見出すことに成功した。また作用機序解析からITVは間質細胞内のcomplex Iに作用し、乳酸分泌の促進による細胞内外の酸性化誘導によってがん細胞の増殖抑制していることが明らかとなった。この結果から、complex Iが抗がん剤の分子標的として妥当であることが示唆された。
|