研究課題/領域番号 |
19K15720
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
古旗 祐一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40828026)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 蛍光RNA / RNAイメージング / 核酸アプタマー |
研究実績の概要 |
多くの生命現象はRNAを介してダイナミックに制御されており,RNAの細胞内局在及び発現量解析は高次生命現象を紐解く大きな鍵となっている.しかしながら一部のRNAを除いて,時空間制御機構やその生物学的意義は未解明である.近年開発された蛍光団と複合体を形成することで蛍光能を獲得する蛍光RNAは,RNA解析を実施する上で強力なツールとなり得るが,現在の蛍光RNAプローブは蛍光強度と持続性が低く,内在RNAのイメージングへの適用が難しいことが問題となっていた.本課題を解決するには,既存の蛍光RNAと比較して桁違いの蛍光特性を有する,超高輝度蛍光RNAの作出が必要である.こうした背景のもと本研究では,申請者が独自に開発した高輝度蛍光RNAをベースとしてRNAの改変を行い,内在遺伝子に蛍光RNA配列を付加することでRNAの継続的なライブイメージングを可能とする超高輝度蛍光RNAを作出することを目的とし,研究を推進している. 本年度は当初予定していた変異ライブラリのセレクション実験を次年度に見送り,蛍光RNAの蛍光特性を評価するための実験系の構築を先に行った.具体的には,蛍光相関分光法及び蛍光標識RNAアプタマーを用いた分子レベルでのフォールディング効率評価系や,結合速度定数や解離速度定数の測定系の構築を行った.また当該実験系を用いて申請者が開発した高輝度蛍光アプタマーを評価し,複数件の依頼・招待講演を行ったほか,特許出願の準備を行った. こうしたことから,実施計画に多少の前後があるものの,当該年度は実施計画をおおむね順調に進行したと言える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初予定していた変異ライブラリのセレクション実験を次年度に見送り,目的とするRNAの蛍光特性を評価するための,フォールディング効率測定系や解離速度定数や結合速度定数の測定系などの主要な実験系の立ち上げに従事した.年度内にある高輝度蛍光RNAの解析を行い,口頭発表や特許出願の準備を行ったため,おおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は現状の蛍光RNAをさらに高輝度化するためのセレクションとin vitro,in vivoにおける性状解析を実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた,変異ライブラリのセレクション実験を次年度に見送り,蛍光RNAの評価実験を行ったため.また社会の状況を鑑みて学会参加を見送ったため. 次年度はライブラリのセレクション実験及び可能であれば学会参加等の旅費として使用する.
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