今後の研究の推進方策 |
1.アルミニウム非感知性変異体のスクリーニング アルミニウム感知に関する変異体のスクリーニングを行う。アルミニウムによって発現が誘導されるSTAR1のプロモーターにGFP遺伝子を導入した形質転換体にEMS変異処理を行いGFPの発現が増加しない変異体のスクリーニングを行う。これまでのスクリーニングでいくつかの変異体候補を得ている。今年度はこれらの後代を用いて、Al耐性の比較やART1の下流の遺伝子発現についてリアルタイムPCRで確認する。また、親株やカサラスと掛け合わせた材料を準備し原因遺伝子の特定を試みる。 2.ART1と相互作用するタンパク質の機能解析 OsBBPI3.1、3.2、3.3はイネのアルミニウム耐性に関与する転写因子ART1とタンパク質レベルで相互作用する。これまでの研究からOsBBPI3の3重変異体はアルミニウム感受性となり、一部のART1制御下の遺伝子の発現に低下がみられた。現在、このOsBBPI3の機能はART1タンパク質の分解阻害ではないかと予想して研究を進めている。一方最近の研究からシロイヌナズナのF-boxタイプのE3 ligase、RAE1が転写因子STOP1の分解に関わることが報告された(Zhang et al., 2018)。イネではシロイヌナズナのRAE1と相同性の高い遺伝子が2つ(OsRAE1、OsRAE2)が存在する。今年度はイネのART1、OsRAE1,2とOsBBPI3.1、3.2、3.3のタンパク質相互作用についてPulldownアッセイをもちいて明らかにする。また、プロトプラストの一過的発現を用いた実験や変異体を利用しOsRAE1,2がART1のタンパク質分解に関わるのか、さらにOsBBPI3.1, 3.2, 3.3がそのART1タンパク質の分解を阻害するのかを明らかにする。
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