石油の環境中への流出は国際的な問題である。そこで、それらを除去する能力を持つ環境微生物の能力が注目されているが、石油の完全な分解には複数種の微生物の共存が必須である。石油分解能を持つ微生物に関する文献は数多くあるが、その多くは単一種の微生物のみを扱ったものであり、本研究のように、複数種の微生物共同体を用いた石油分解機構の調査は過去の前例が殆ど無い。本研究では、優れた石油分解能を示す土壌細菌群集において、少数のパイオニア細菌が石油分解を“先導”し、共存する他の多数の細菌種がこれらに依存していることを明らかにした。今回得られた知見は将来、微生物を用いた汚染環境浄化の技術開発への応用が期待される。
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