研究課題
本研究課題では、汎用的な化成品の原料として期待される芳香族ジカルボン酸合成に資する可逆的脱炭酸酵素の取得・利用を目的とし、以下の2酵素を主軸に研究を行った。1. 4-ヒドロキシイソフタル酸に対する可逆的脱炭酸酵素 (4HIDC)昨年度までに炭酸固定による4-ヒドロキシイソフタル酸 (4HIPA) 合成を目指し、4HIDCを示すCystobasidium slooffiae HTK3から当該酵素を取得し、本新規酵素について至適反応pH, 温度および熱安定性などの生化学的特性を明らかにした。本年度はさらなる酵素学的諸性質の解明を目指して速度論的解析を行った。その結果、炭酸固定反応において既知の可逆的脱炭酸酵素の多くはKHCO3濃度依存的に活性が上昇するのに対し、本酵素においては基質阻害が観察され、4HIDC合成においてKHCO3を高濃度では用いないのが望ましいと示唆された。2. フランジカルボン酸に対する可逆的脱炭酸酵素 (FDDC)昨年度は炭酸固定によるフランジカルボン酸 (FDCA) の合成を目指し、FDDC活性を示すParaburkholderia fungorum KK1の取得および当該酵素の取得に成功した。本年度はFDDCを利用したFDCA合成プロセスの開発を目指し、バイオマス資源であるフルフラールからのFDCA合成を検討した。フルフラールは酸化されるとFDDCの基質である2-フロ酸 (FA) を生成するため、フルフラール酸化酵素の探索を行った。その結果、ヒドロキシメチルフルフラール酸化酵素 (HMFO) がフルフラール酸化活性も示すことを見出し、HMFOおよびFDDCのカップリングによるフルフラールからのFDCA合成に成功した。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Journal of Bioscience and Bioengineering
巻: - ページ: -
10.1016/j.jbiosc.2021.03.001
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
10.1093/bbb/zbab082