• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実績報告書

ポリケタイド合成酵素の基質受け渡し機構の解明を目指した高分解能構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K15746
研究機関東京大学

研究代表者

永田 隆平  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特別研究員 (10836703)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードX線結晶構造解析 / ポリケタイド合成酵素
研究実績の概要

2021年度は、他の酵素によって形成された五員環をもつ基質のみを受け入れるチオエステル加水分解酵素ElbBの基質認識機構についての研究に注力した。2021年の初めに、他のグループからElbBのホモログ酵素DcsBの結晶構造が報告され(De-Wei Gao, et al. J. Am. Chem. Sci., 2021, 143, 80-84)、この構造をモデルに使った分子置換法によってElbBの結晶構造を決定した。ElbBの全体構造はDcsBとよく似ていたが、基質結合ポケットの周辺に違いが見られた。特に、DcsBがもつポケットの開口部がElbBでは芳香族性のアミノ酸残基によって塞がれており、ElbBのポケットは完全に閉じた形をしているという特徴が見られた。そのため、ElbBでは温度因子の高いαヘリックスが開閉するように動いて基質が出入りすると予想された。変異型ElbBの結晶構造ではこのαヘリックスがディスオーダーしている構造が得られ、このαヘリックスの可動性の高さが示唆された。また、今回は基質複合体の結晶構造が得られなかったため、ElbBと基質とのドッキングシミュレーションを行った。その結果、ポケット内のシステイン残基が基質の水酸基を認識し、疎水性残基が基質の五員環を認識するシミュレーション結果が得られた。これらの残基の重要性については変異型ElbBの活性測定による検証も進めている。
本研究では、ポリケタイド合成酵素の全長構造での構造解析は道半ばとなってしまったが、ポリケタイド合成酵素の1つのドメインであるチオエステル加水分解酵素の基質認識機構について新たな知見が得られた。

本研究で得られた成果については、日本結晶学会および日本農芸化学会にて発表を行った。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 真菌Eupenicillium ludwigii由来PKSチオエステラーゼElbBの基質認識機構に関する構造解析2022

    • 著者名/発表者名
      小林瑶平、永田隆平、森下陽平、菅原章公、浅井禎吾、葛山智久
    • 学会等名
      日本農芸化学会2022年度大会
  • [学会発表] 真菌由来チオエステル加水分解酵素ElbBの結晶構造解析2021

    • 著者名/発表者名
      小林瑶平、永田隆平、森下陽平、浅井禎吾、葛山智久
    • 学会等名
      日本結晶学会令和3年度大会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi