I型ポリケタイド合成酵素のドメインの一つであるチオエステル加水分解酵素ElbBの基質認識機構を結晶構造に基づいて明らかにした。ElbBは他のチオエステル加水分解酵素とよく似た立体構造をもつが、基質結合ポケットにおいて他の酵素のような開口部を持たない完全に閉じた構造をしていることが分かった。一方、ElbB変異体ではポケットが開いた結晶構造が得られた。そのため、基質結合時にはElbBの構造が動いてポケットの開閉が起こると考えられる。また、反応中間体とのドッキングシミュレーションを行うことで基質認識に重要なアミノ酸残基を推定し、これらの残基の重要性を変異型ElbBの活性測定によって確認した。
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