研究課題/領域番号 |
19K15754
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
町田 峻太郎 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 助教 (40827490)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ラン藻 / 微細藻類 / 有用物質生産 / ヒトミルクオリゴ糖 / 腸内環境 |
研究実績の概要 |
当該年度は前年度に引き続き、①シアノバクテリアへのプラスミドコンストラクトの導入による遺伝子組換え体の作製、および②LNB標準品の新規合成法の確立を行った。 実施項目①に関して、前年度まで、UDP-N-アセチルグルコサミンをN-アセチルグルコサミンへと変換するRhodobacter capsulatus由来のsiaA遺伝子の異種発現に成功していない。この原因として、今回採用した代謝改変系は細胞毒性を引き起こし、遺伝子組換え効率が低下している可能性が考えられた。そこでSynechocystisにおける遺伝子組換え条件の最適化を行った。その結果、プラスミドコンストラクト濃度が形質転換効率に大きく関係していることが分かった。この結果を踏まえ、再度siaA遺伝子の異種発現を試みたが、目的の遺伝子組換え体は得られなかった。UDP-N-アセチルグルコサミンはペプチドグリカン合成に必要なため、siaA遺伝子の導入は致命的な細胞毒性を引き起こす可能性が考えられる。 実施項目②に関して、本実験でシアノバクテリアに合成させることを目指している機能性オリゴ糖ラクト-N-ビオースI(LNB)は、その合成にかかわる4種のビフィズス菌由来の酵素を用い、スクロースおよびN-アセチルグルコサミンを出発原料として、in vitroで合成できる。前年度までに、ビフィズス菌の粗抽出液を用いたLNB合成に成功している。しかしこの合成系では反応中間体であるグルコース-1-リン酸が粗抽出液に含まれるグリコーゲンホスホリラーゼにより副反応に流れて消費されてしまっている可能性が示唆されていた。そこで、グリコーゲンホスホリラーゼの反応基質となるマルトオリゴ糖をグルコアミラーゼにより消化する方法を考案した。この方法でLNBを合成した結果、従来方法と比べて、LNB生産性を1.8倍向上させることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた遺伝子組換え体の作製に大きく時間を要し、遅れている。ターゲットとする糖の合成系について再検討し実験計画の遂行に努める。
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今後の研究の推進方策 |
ターゲットとする機能性オリゴ糖の基質となるガラクトース-1-リン酸の合成を検討する。また、引き続きLNB標準品の新規合成法の確立に向けた実験に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
シアノバクテリアの遺伝子組換えの作製に遅れが生じ、当初計画していた形質転換体の生理活性評価を次年度以降に行うことになったため、その経費が次年度使用額となった。
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