研究課題/領域番号 |
19K15758
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
松尾 洋孝 北里大学, 北里生命科学研究所, 研究員 (70613694)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 含硫黄天然物 / モリブデン酸化 / LC/MS / 微生物二次代謝産物 |
研究実績の概要 |
微生物由来天然物質は、医薬、農業、生化学分野などの様々な領域で利用されており、と りわけ医薬品のシードとして重要な資源のひとつである。特に、窒素や硫黄原子を構造内に含む天然物は、強力かつ特異な作用を示すものが多く、天然物化学者たちを魅了してきた。そこで本研究では、これまでにない含硫黄天然物の探索方法として、モリブデン酸化とLC/MSを組み合わせた探索方法であるMoS-screeningを構築した。 本スクリーニング系を用いて微生物培養液中から含硫黄物質を探索した結果、放線菌培養液中より、構造内にN-アセチルシステインを含むkitasetalineを同定することに成功し、MoS-screeningの有用性が証明された。また、スクリーニングの過程で、天然物データベースであるDictionary of Natural Productsに収載されている既知物質のデータには該当しない物質を4種見出した。これらの物質は新規な含硫黄物質であることが予想されるため、今後、単離・精製を行い、構造を明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、モリブデン酸化とLC/MSを組み合わせることにより、含硫黄物質の新規探索系 (MoS-screening) を構築した。さらに、本探索系によりスクリーニングを行なった結果、既知の含硫黄物質であるkitasetalineを同定することができた。この結果より、MoS-screeningが実際に含硫黄物質の探索系として機能していることが証明された。また、スクリーニングの過程で、既知含硫黄物質のどのデータとも一致しない物質を見出したため、これらは新規な含硫黄物質であることが予想された。以上のことから、おおむね順調にしていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
MoS-screeningにより、既知の含硫黄物質のデータには該当しない物質、すなわち新規な含硫黄物質の候補が見出されたため、その取得を行なっていく予定である。得られた物質は、NMRやMS等により構造解析を行う。新規含硫黄物質と判明した物質に関しては、各種生物活性を評価し、その有用性を探索する。
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