研究課題
生活習慣病を日常生活の中で予防・改善する観点から、食品機能性成分に対する需要が高まっている。食品の最たる特徴は、多彩な成分の含有であり、この点に「食」の潜在的な可能性が秘められている。ところが、これまでの研究は、含有成分の一端に焦点があてられ、多彩な機能性成分の全体像は解明されていない。その主因は、食品に含まれる膨大な成分の機能性を網羅的に評価できないことにあった。本研究では、メタボローム解析により取得した成分データを化合物ライブラリーとして使用することで、食品に含まれる成分を機能性ベースで網羅的に評価できるシステムの構築を目指す。また、構築システムの活用により、食品機能性成分の全体像を解明することで、現実の「食」に即した機能性成分と健康効果の提示を試みる。これまでに、構築した機能性ベース網羅的食品成分評価システムをトマトに適用し、アディポネクチン様活性成分の全体像として約270成分を明らかにするとともに、特に有望な成分として複数のカロテノイドを同定し、幾つかのアディポネクチン様活性を検討した。最終年度は、同定カロテノイドの標品を用いて、より詳細にアディポネクチン様活性を検討した。同定カロテノイド標品は、糖取り込み能を亢進させたが、そのメカニズムの1つとして、アディポネクチンと同様に、Glut4の細胞膜トランスロケーションを増加させることを見出した。また、アディポネクチンによる血糖値低下が報告されている糖尿病マウス評価系おいて動物試験を行ったところ、同定カロテノイドの投与は、血糖値を低下させた。一方、アディポネクチンは、AMPK上流において、LKB1の細胞質トランスロケーションを増加させることが報告されているが、同定カロテノイド標品は、上記シグナルに影響を与えなかった。このことから、同定カロテノイドの活性は、アディポネクチンを完全に模倣するものではないことが示唆された。
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PLOS ONE
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10.1371/journal.pone.0267248