研究課題/領域番号 |
19K15768
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
村田 希 愛媛大学, 学術支援センター, 助教 (50808110)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 機能性食品 / ポリフェノール / アントシアニジン / マイクロRNA |
研究実績の概要 |
マイクロRNAは約20塩基からなるタンパク質に翻訳されない低分子RNAであり、メッセンジャーRNAを標的として結合し、標的遺伝子の発現を抑制することにより多様な生命現象の調節に関与している。食品成分がマイクロRNAの発現を変動させることが報告され、食品の機能性発現の新しい分子機構として注目されつつあるが、どのようにして発現を調節しているのかという詳細な分子メカニズムは不明な点が多い。本研究では、アントシアニジンの一種であるデルフィニジンにより発現が変動するマイクロRNAならびにその発現調節メカニズムを明らかにすることにより、デルフィニジンの生体調節作用を解明することを目的としている。これまでの検討において、デルフィニジンによる廃用性筋萎縮抑制作用に筋萎縮抑制性のマイクロRNAであるmiR-23aが関与していることを明らかにしており、miR-23aの発現調節メカニズムの解明を試みた結果、デルフィニジンがmiR-23aの転写因子NFATc3の発現を誘導することを見出した。デルフィニジンによるNFATc3の発現調節機構を解明するために、カルシウムシグナリングに着目して検討した結果、カルシニューリンの阻害によりNFATc3発現誘導作用が消失した。 マイクロRNAを内包する細胞外小胞を分泌する供給細胞と取り込む受容細胞が存在し、細胞外小胞は細胞間のコミュニケーションを担っていることから、マイクロRNAを内包した細胞外小胞が食品成分の機能性発現に関わる重要な因子となりうる可能性が考えられる。デルフィニジンが細胞外小胞を介して生体調節作用を発揮するのか検討するために、超遠心法を利用し細胞の培養上清から細胞外小胞を回収することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
下記の通り、各検討項目において成果を示したが、作用機構ならびに機能性の解明に至っていないことからやや遅れていると判断した。 1)デルフィニジンのNFATc3発現調節作用にカルシニューリンが関与することを見出した。 2)マクロファージや肝臓細胞から細胞外小胞を回収することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、下記の研究を推進する。 1)骨格筋細胞におけるデルフィニジンのmiR-23a発現調節作用機構(NFATc3の上流に与える影響)の解明。 2)デルフィニジンが細胞外小胞中のマイクロRNA発現に与える影響および細胞外小胞を介した機能の解明。
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