研究課題/領域番号 |
19K15771
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
本田 沙理 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (20824890)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ポリフェノール / 飲料 / 機能性 |
研究実績の概要 |
本研究は、主要なポリフェノール摂取源である飲料において、生理条件下でのポリフェノール成分の変化と機能性の変化を解明することで食による人のQOL向上を目指すものである。本年度の研究では、ポリフェノールを多く含む飲料のうち、緑茶、紅茶、ハーブ茶などの茶飲料に焦点を絞り、含有される個々のポリフェノール成分の分析方法を確立し、生理条件下における成分と機能性の変化を検討することができた。具体的には、熱水抽出した各種茶飲料を生理条件下を想定したpH 6.8, 7.4, 8.3の緩衝液と混合し、1時間後の成分と機能性の変化を混合前のものと比較した。機能性については、生活習慣病として注目されている高血圧、糖尿病、痛風発症要因となる酵素の阻害活性をそれぞれ検証した。検討の結果、ほとんどの茶飲料において、含有ポリフェノールは生理条件下で減少した。クロロゲン酸、カテキン、テアフラビン類の多くのポリフェノール成分が減少する一方、飲料によっては新たな成分の生成も確認された。機能性についても、生理条件下において酵素阻害活性が減少するものが多く見られ、1時間が経過しても変化しないものも多く確認された。特にハーブ茶において、機能性の変化が著しく確認され、成分の変化と併せて考えると、新たな機能性成分が生成されていることが高いと予想された。本年度の研究成果は、研究実施計画に記載した内容を十分に満たしており、今後もさらなる成果が得られることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画では、生体内想定条件で変化した飲料ポリフェノール成分の分析条件の確立、および抗生活習慣病を対象とした機能性評価試験の検討を行うことを予定していた。 今年度の研究の結果、ポリフェノールを多く含む飲料のうち緑茶や紅茶、ハーブ茶などの対象飲料を選抜し、その含有ポリフェノール成分を個々に正確に検出する条件を確立することができた。また、検証する抗生活習慣病機能についても、高血圧、糖尿病、痛風発症を予防することが期待される酵素阻害活性を測定する方法を完成させることができた。 したがって、現在までの進捗状況は、実施計画におおむね従ったものであると判断でき、今後も十分に成果が期待できると予想される。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、本年度確立した各種ポリフェノール成分の分析法、機能性評価法を用いて各種茶飲料中の抗生活習慣機能を持つ成分を解明することであり、メタボロミクス解析を用いたトータル成分分析と機能性評価結果を組み合わせながら、効率的に新規機能性成分を解明することができると予想される。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額に該当する金額はわずかなものであり、物品購入により僅かに生じた余りである。翌年度助成金と併せて使用する計画はない。
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