研究課題
若手研究
本研究では,澱粉の老化による物理的な構造形成機構と物性変化との関連性を明らかにすることを目的とした。澱粉濃度15%,30%のゲルは,いずれも4℃の保存により老化した。テクスチャーにおいては,保存により澱粉30%は脆くて硬い物性になった一方,澱粉15%では物性の顕著な変化は認められなかった。これは,澱粉15%では,老化澱粉量が少ないため構造構築に至らず,老化しても物性に反映されなかったと推察された。以上より,澱粉の老化がゲルの物性に及ぼす影響は,澱粉濃度によって異なることが明らかとなった。
食品加工学,調理科学
澱粉の老化は,糊化した澱粉の保存により硬さ,脆さといった物性が変化する現象である。このことから,老化によって生じる物性変化を把握し,老化を制御することが重要である。本研究は,保存により澱粉30%は脆くて硬い物性へと変化する一方,澱粉15%では物性の顕著な変化は認められず,物性変化の程度は澱粉濃度によって大きく異なることを見出した。本研究は,澱粉加工品における保存による経時的な物性変化の要因解明あるいは物性制御のための基礎的知見として役立つことが期待される。