研究実績の概要 |
ポリメトキシフラボノイドは複数のフェノール性水酸基(-OH)がメトキシ基(-OCH3)に置換されたフラボノイドである。シークヮーサーなどに含まれるノビレチン(3', 4', 5, 6, 7, 8-Heptamethoxyflavone)に代表されるポリメトキシフラボノイドには抗炎症、抗肥満、抗皮膚老化、記憶障害改善など多様な生理活性が報告されている。本年度は、天然由来植物よりポリメトキシフラボノイドを単離・精製または購入した50種類のポリメトキシフラボノイドを用い、マウスマクロファージ様細胞株RAW264をLPSで炎症を惹起させることでNO産生を誘導した炎症モデルにおける抗炎症作用を評価することで、ポリメトキシフラボノイドの活性相関に関する解析を実施した。その結果、5,7-Dimethoxyflavone、5,7,3'-Trimethoxyflavone、5,7,4'-Trimethoxyflavone、5,7,3',4'-Tetramethoxyflavone、5,7,3',4',5'-PentamethoxyflavoneはLPS+のみの場合と比べ、強いNO産生抑制効果を示した。活性相関解析の結果、C環にメトキシ基を持たず、A環に5位と7位のみにメトキシ基を有し、B環にメトキシ基を持つ場合、3’位または4’位またはその両方に有するとNO産生抑制効果が高くなることが示唆された。また、3’位または4’位にメトキシ基を持ち、A環にメトキシ基を有さないとNO産生抑制効果が高くなると示唆された。また、C環にメトキシ基を持たず、3’位、4’位、5’位にメトキシ基を持ち、A環にメトキシ基を持つ場合5位と7位にメトキシ基を持つとNO産生抑制効果が高くなることが示唆された。これらのことから、メトキシ基の付く位置と生理活性(抗炎症)と構造特異的な活性相関が明らかとなった。
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