研究実績の概要 |
ポリメトキシフラボノイド(PMF)は複数のフェノール性水酸基(-OH)がメトキシ基(-OCH3)に置換されたフラボノイドである。PMFは様々な生理活性が報告されており、シークヮーサーなどに含まれるノビレチンには抗炎症、抗肥満、抗皮膚老化、記憶障害改善、体内時計調節、抗アレルギーなど多様な生理活性が報告されている。ノビレチンに代表されるPMFは他のフラボノイドと比較して体内吸収に優れていることが明らかとなっている。しかし、PMFの物性、溶解性、安定性、小腸上皮膜透過性、組織における代謝や滞留、生理作用の発現に至る作用機構に関しては不明な点が多い。最終年度は天然由来植物より単離精製したPMF(5,7-Dimethoxyflavone、5,7,3'-Trimethoxyflavone、5,7,4'-Trimethoxyflavone、5,7,3',4'-Tetramethoxyflavone、3,5,7,3',4'-Pentamethoxyflavone、ノビレチン、タンゲレチン、シネンセチン)を投与したICRマウスやSDラットを用いて吸収性に関する解析試験を実施した。その結果、A環に5位と7位のみにメトキシ基を有し、C環の3位、B環の3'位と4'位にメトキシを有する3,5,7,3',4'-Pentamethoxyflavoneが有意に吸収性が高いという結果が得られた。この知見は細胞試験から得られた構造特異的な活性相関と一致する結果であった。また、3,5,7,3',4'-Pentamethoxyflavoneを経口投与したICRマウスの血漿中における代謝物をLCMSで経時的に解析したところ、5, 3'または4'位が脱メチル化を受けていることが分かった。本研究でPMFの吸収と代謝の構造活性相関の一部を明らかにすることができた。本成果は機能性食品開発の重要な知見となると考えられる。
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