研究課題/領域番号 |
19K15782
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研究機関 | 愛知県衛生研究所 |
研究代表者 |
舘 昌彦 愛知県衛生研究所, 衛生化学部医薬食品研究室, 主任 (60744274)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 強壮成分 / 健康食品 / 質量分析 / クラスター分析 / LC/Q-OrbitrapMS |
研究実績の概要 |
本研究は、健康食品中に混入される恐れのある違法な強壮成分及びその類似成分を検出するためのスクリーニング分析法の開発を目的とする。令和元年度は、国内で発見されている強壮類似成分について、厚生労働省や各都道府県が実施した買上調査結果及び各種文献等を調査した。これらの調査をもとに強壮成分の一覧表を作成し、現在までに強壮成分40種の標準品を入手した。また、令和元年度に当研究所に導入されたLC/Q-Orbitrap型質量分析計を用いて、強壮成分40種のMS/MSスペクトルライブラリーの構築及びクラスター分析による構造別分類を検討した。 移動相にギ酸含有アセトニトリル及びギ酸のグラジエント溶出を用いることで、マスクロマトグラム上において40種すべて良好なピークが検出された。取得した標準品のMS/MSスペクトルデータは、ライブラリーとして管理したのち、統計ソフトRを用いてクラスター分析を行った。その結果、基本骨格に基づいて大きく10グループに分類された。このことからMS/MSスペクトルのクラスター分析は、未知の強壮類似成分スクリーニング分析法として有用であることが示唆された。しかし上記の問題点として、実試料では膨大なMS/MSスペクトルデータの取得が想定され、ライブラリーへのデータ移行に多大な時間が必要と考えられる。今後、全MS/MSスペクトルデータのライブラリーへの一括エクスポートが可能な方法を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究室に設置されていたLC/Q-TOF型質量分析計からLC/Q-Orbitrap型質量分析計への機器変更に伴い、分析条件検討の必要性が考えられたが、測定対象成分40種について同条件を用いたところ良好な分析結果が得られたため、当初想定していたよりも検討に時間がかからなかった。その分、クラスター分析等の解析作業に時間を費やすことができた。
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今後の研究の推進方策 |
強壮成分の標準品を用いた実験では、良好な研究結果が得られている。今後は、実試料を用いた添加試験を行っていく予定である。本分析法の頑健性を確かめるため、マトリックスの多い茶葉の健康食品を実試料とする。実試料では膨大なMS/MSスペクトルデータの取得が想定され、ライブラリーへのデータ移行に多大な時間が必要と考えられる。そこで、MS-DIAL等の質量分析データ解析ソフトを利用して、全MS/MSスペクトルデータのライブラリーへの一括エクスポートが可能か検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度の分析条件の検討は、計画よりも早く達成することができ、検討に必要な消耗品の消費が少なくすんだ。また、次年度に実施する多変量解析を前倒しして着手するために、解析ソフトウェアを元年度予算から購入した。以上の変更点により、当初からの経費の振り分けに差異が生じた。 次年度以降に実試料を用いた検討を行うとなれば、上記の消耗品の劣化が早くなり消費が増えることが予想されるため、差異分を次年度の消耗品に充てる。
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