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2019 年度 実施状況報告書

骨格筋が分泌する自然免疫分子による筋萎縮抑制効果の解明と食品成分による制御

研究課題

研究課題/領域番号 19K15785
研究機関東京大学

研究代表者

近澤 未歩  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (80757071)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード骨格筋 / 自然免疫 / MFG-E8 / 筋融合
研究実績の概要

Milk fat globule-EGF factor 8(MFG-E8)は主に免疫細胞が分泌する自然免疫分子である。近年、複数の自然免疫受容体が骨格筋においても発現しており、筋融合の際に重要な役割をしていることが確認された。自然免疫系分子の筋融合に与える影響については多くが未解明であり、これを明らかにすることは筋形成のメカニズムの解明へと結びつくことが期待される。そこで、自然免疫系の分泌分子や受容体について、リアルタイムPCRにより骨格筋(培養細胞・マウス)における発現を確認したところ、多くの分子が骨格筋においても発現しており、筋分化の過程において発現が変動することが確認された。その中から、骨格筋に高発現する分泌分子Milk fat globule-EGF factor 8(MFG-E8)に着目し、これまでに検討を行ってきた。
本研究では、MFG-E8の骨格筋における機能について解明し、MFG-E8の産生亢進を介して筋機能の維持・改善に寄与する食品成分を明らかにすることを目的として研究を行った。具体的には、MFG-E8が筋分化・融合の亢進、骨格筋における炎症の抑制に寄与していることを予想し、骨格筋培養細胞、マウスを用いた検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概ね計画に基づき、順調に進行している。これまでの検討により、C2C12筋芽・筋管細胞におけるMFG-E8の分泌を確認したが、実際に生体においても骨格筋がMFG-E8を分泌するのか確認するため、マウス骨格筋よりサテライト細胞を単離後、分化誘導を行った。分化誘導0, 1, 4日目の細胞を回収し、リアルタイムPCRにより遺伝子発現を確認したところ、MFG-E8が骨格筋に発現しており、分化で発現亢進することが確認された。また、C2C12細胞を分化させ、分泌されたMFG-E8の細胞表面への結合をフローサイトメトリーにより確認したところ、MFG-E8はC2C12細胞表面に結合しており、またその結合は分化により大きく亢進することが明らかになった。さらに、MFG-E8の分化に及ぼす影響を確認するため、リコンビナントMFG-E8をC2C12細胞の分化誘導時に処理し、遺伝子発現への影響を確認したところ、MFG-E8による分化マーカー(Myogenin, Myh3)の発現上昇傾向が確認された。また、MFG-E8の投与により、アポトーシスマーカーであるCaspase-3の発現が低下することをウェスタンブロッティングにより確認した。
以上より、MFG-E8は分化細胞の表面に結合することで筋融合を促進する可能性、過剰な炎症誘導を抑制する可能性が示唆された。

今後の研究の推進方策

MFG-E8の筋融合における影響については、これまでの成果をまとめ、論文発表まで完了した。またMFG-E8以外にも複数の免疫系分子が骨格筋に発現していることを確認したため、今後はこれらの機能性についても明らかにしていく。
また今回の内容より、自然免疫系分子は免疫系細胞に限らず様々な細胞より分泌される可能性、また筋融合など生体における多様なイベントに関与する可能性が予想された。今後はより幅広い組織、またMFG-E8に限らず様々な免疫系分子に着目し、新たな機能性を明らかにしていくことを予定している。

次年度使用額が生じた理由

Rac1活性化アッセイ、動物実験を予定より少ない回数しか行わなかったため、その分を次年度に持ち越した。今後別分子でのアッセイで必要となる試薬(リコンビナントタンパク質、抗体など)や実験動物の購入に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Bridging molecules are secreted from the skeletal muscle and potentially regulate muscle differentiation2020

    • 著者名/発表者名
      Chikazawa Miho、Shimizu Makoto、Yamauchi Yoshio、Sato Ryuichiro
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 522 ページ: 113~120

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2019.11.010

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-01-27  

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