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2020 年度 実施状況報告書

骨格筋が分泌する自然免疫分子による筋萎縮抑制効果の解明と食品成分による制御

研究課題

研究課題/領域番号 19K15785
研究機関名城大学

研究代表者

近澤 未歩  名城大学, 農学部, 助教 (80757071)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード自然免疫 / MFG-E8 / 骨格筋 / 腸管免疫
研究実績の概要

Milk fat globule-EGF factor 8(MFG-E8)は主に免疫細胞が分泌する自然免疫分子である。近年、複数の自然免疫受容体が骨格筋においても発現しており、筋融合の際に重要な役割をしていることが確認された。自然免疫系分子の筋融合に与える影響については多くが未解明であり、これを明らかにすることは筋形成のメカニズムの解明へと結びつくことが期待される。そこで、自然免疫系の分泌分子や受容体について、リアルタイムPCRにより骨格筋(培養細胞・マウス)における発現を確認したところ、多くの分子が骨格筋においても発現しており、筋分化の過程において発現が変動することが確認された。その中から、骨格筋に高発現する分泌分子Milk fat globule-EGF factor 8(MFG-E8)に着目した。
令和2年度までに、MFG-E8の骨格筋における機能性について検討を行った。骨格筋はMFG-E8を分泌しておいることが確認され、また筋分化に伴い遺伝子発現が亢進することが確認された。また、筋分化の際の過剰な炎症抑制や分化の促進にMFG-E8が関与することを示唆する結果を得た。以上より、MFG-E8は免疫細胞以外の細胞によっても分泌されており、組織において多様な機能を担っていることが予想される。骨格筋における検討が論文化まで完了したため、自然免疫分子の機能についてさらなる知見を明らかにすることを目指し、腸管における機能性に着目した。現在までに、腸管における実験系の準備・立ち上げを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでにMFG-E8の骨格筋における機能について解明し、MFG-E8の産生亢進を介して筋機能の維持・改善に寄与する食品成分を明らかにすることを目的として研究を行った。具体的には、MFG-E8が筋分化・融合の亢進、骨格筋における炎症の抑制に寄与していることを予想し、骨格筋培養細胞、マウスを用いた検討を行った。
これまでの検討より、MFG-E8は分化細胞の表面に結合することで筋融合を促進する可能性、過剰な炎症誘導を抑制する可能性が示唆された。令和2年度までに、MFG-E8の筋融合における影響についてこれまでの成果をまとめ、令和元年度には論文発表まで完了した。
これまでの結果より、骨格筋以外の組織においても自然免疫系分子が発現・分泌されており、組織に特異的な機能を発揮しているのではないかと考え、特に腸管組織に着目し、さらなる検討を行うことにした。腸管において、MFG-E8は炎症抑制に寄与するという報告があり、免疫系分子が分泌され、多様な機能を担うことが予想される。現在、マウスや培養細胞を用いた実験系の確立を進めており、完了次第免疫系分子の発現確認や機能解析に移行する予定である。

今後の研究の推進方策

マウスと培養細胞を用いた腸管組織における免疫系分子の機能解明を目指し、培養細胞を用いた腸管における自然免疫分子やその受容体の発現・分泌確認、発現を制御する条件の探索などを行い、腸管における基礎的なデータを得るとともに、その機能について詳細に解析する。最終的には健康状態や疾患との関与などについて明らかにすることを目指し、さらなる解析を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究機関の異動に伴う実験の立ち上げに想定していたよりも時間がかかり、予定通りに研究が進められなかった。次年度はこれまでに確立した実験系をもとに、引き続き腸管における免疫系分子の機能性についての解析を進める予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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