研究実績の概要 |
ハーブサプリメント(HS)は起源植物や製法の多様性を反映し,品質や安全性のばらつきがあり,製品評価が必要である.本研究では,安全性評価動物試験法[Suggested Daily Intake-Based Safety Evaluation (SDI-SE): J Nutr Sci Vitaminol.,2023]を開発・命名した.食品衛生法に規定される指定成分含有食品に着目して,Coleus forskohlii製品にSDI-SEを適用した.4製品(A~D)は,いずれも肝肥大とCYPs誘導作用があり,そのうち,肝肥大とCYP3A1を強く誘導する製品Dがあり,製品間の作用の違いを検出した, 2023年度は,CYP誘導作用の関与成分や脂肪肝誘発因子の特定にむけて検討した.まず,製品の成分組成をHPLCにより分析し,Forskolin含量が表示以下の製品があり,有効性への影響が懸念された.作用が強いD製品では,他製品より高含量の成分が複数検出され,CYP誘導との関連が今後の検討課題となった.次に,CYP誘導成分と脂肪肝誘発因子の特定にむけて,培養肝細胞HepG2を用いて検討し,グルコース取込や中性脂肪蓄積作用を促進する成分が見つかり,同成分はCYPも誘導した.現在,再現性を検証している. 2019年度より,HS製品にはSDI-SEのような製品評価が必要であること,実施により懸念があった場合には,HPLCや細胞実験による検討で,原因成分を見つけられることを示してきた.これらのSDI-SEに基づく情報は,製品の一日推奨量の設定,薬物相互作用のラベル表示,CYPを誘導する成分のコントロールに反映できるため,事業者の商品設計の見直しに活用でき,消費者の安全性確保に有用であると考えている.今後は事業者や行政への認知につなげていく.
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