研究課題
研究代表者らは酵母のペントースリン酸回路(PPP)欠損株の細胞内NADPH/NADPレドックスバランスが著しく低下することに伴うストレス耐性機構に注目して研究を実施した。細胞内NADPH/NADP比が低下することで、非ストレス条件下であるにも関わらず、酸化ストレス応答性転写因子であるYap1の活性化を介してNADPHを必要としない酸化ストレス耐性因子の発現量を上昇させることで、酸化ストレスだけでなく一酸化窒素(NO)に対しても顕著に高いストレス耐性を獲得することを明らかにした。また、PPP欠損株のイソブタノール感受性を示すことが知られているが、その表現型がPPPの初発酵素であるグルコース6リン酸脱水素酵素(G6PD)と6ホスホグルコン酸脱水素酵素(6PGD)それぞれの欠損株の表現型が異なり、この表現型の違いは細胞内NADPH/NADP比と相関することを示した。これらの解析結果から、酵母にはNADPH代謝を必要とするイソブタノール耐性機構が存在することが示唆された。これまで、酵母におけるメタロチオネイン(MT)とNO耐性機構との関連性は明らかにされていなかった。しかし、研究代表者らの研究結果から酵母のMT欠損株はNO感受性を示し、MT過剰発現株は耐性を示したことから、MTがNO耐性に寄与していることが示された。さらに、研究代表者らは最近スクリーニングを通して顕著に高いNO耐性を示す菌株を取得することに成功した。また次世代シーケンス解析によってNO耐性株の遺伝子変異点を同定し、遺伝学的解析によって、新規なNO耐性因子を明らかにした。
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