イネ科作物の草丈は収量性と密接に関連しているため、重要な農業形質の一つであるが、これまでの草丈関連育種は耐倒伏性の観点から短稈化が主流であった。一方、東南アジアを中心に栽培されている浮イネは、洪水時に水位の上昇に合わせて茎(節間)を伸長させることで洪水による溺死を回避している。これまでに、浮イネの節間伸長には植物ホルモンの一種であるジベレリンが関与することが知られていたが、詳細な分子メカニズムは未解明であった。本研究は、ジベレリンによるイネの節間伸長制御機構を解明するとともに、近年、世界で多発する洪水によるイネ科作物の被害に対して、節間伸長による洪水耐性といった育種的応用を目指すものである。
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