研究課題/領域番号 |
19K15817
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
石井 孝佳 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 講師 (80823880)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 遠縁交雑 / 未熟胚 / 交雑障壁 / 染色体脱落 / ムギ類 / トウジンビエ |
研究実績の概要 |
植物育種では、様々な変異を持つ親を交配し両親よりも優れた子供を作り出す方法がある。一般的に、種を超えての交配は様々な形質を持つ子供を作る事ができ、魅力的な方法である。しかし、遠縁の種を交配に用いた場合、雑種初期胚から片親の染色体が選択的に排除される、染色体脱落現象が報告されている。本年度も前年度と同様に、コムギ、エンバクを実験圃場で栽培し、ペニセタム属10種と交雑した。開花時期の調節や穂培養の最適化を行い交雑のタイミングを最適化した。交雑7日後の未熟種子を一交雑あたり200ほど獲得し、さらに固定した。前年度に保存したサンプルをFISH、GISI法によって染色体脱落の程度を観察した結果、交雑したペニセタム属植物の種によって染色体脱落の程度が異なる事がわかった。つまり、染色体脱落は雄側の因子によっても制御されている事を明らかにした。さらに、染色体脱落の時期を特定する目的で受精後極初期の小花も大量に固定し、観察する耐性を整えた。これにより、ムギ類とペニセタム属で起こる染色体脱落の正確なタイミングをつかむことが可能になり、染色体脱落の理解がさらに進むことが期待される。 ペニセタム属が染色体脱落を研究する上で非常に魅力的な材料である事を今年度は証明する事ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であった、染色体脱落を制御している因子が雄側にも存在する証拠をつかんだ。これからはその因子の特定を様々な方法で明らかにする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
雄側の交雑組み合わせで染色体脱落に差がある事がわかった。よって、次にその因子を特定する必要がある。しかし、ムギ類とペニセタム属はともに倍数性、大きなサイズ、遺伝子組み換えの困難な植物であり、因子の特定に時間を要する可能性がある。本研究で発見した染色体脱落が生じる組み合わせと起きない組み合わせを使った実験を進めるが、将来的な原因因子の評価などを考えると、より単純な系で発生する染色体脱落現象を用いる事も重要になると考える。
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