水田転作畑でのパンコムギ栽培では,排水性に難のある水田転作畑においても斉一で良好な幼苗生育を保証する,冠水耐性を備えたパンコムギ品種の育成が求められている.本研究では先行研究において,冠水ストレス応答性が異なることが報告されている核細胞質置換雑種系統(パンコムギの核と近縁種のエギロプス属の細胞質をもつ)を対象に,幼苗期で発現が異なる遺伝子群の網羅的な探索を行った。CSと核細胞質置換雑種系統では,冠水処理区において531の遺伝子の発現変動を検出することができた。これらの遺伝子群は対照区では変動が確認できなかったことから,冠水ストレスと核細胞質ゲノム間相互作用に関係していることが示唆された。
|