シクラメンにおける萼弁化は単一の優性遺伝子によって支配されていることが明らかとなった.一重咲きと八重咲きとの交雑後代では,開花時期が遅い花ほど萼の弁化程度も大きくなる傾向が認められ,それら季節変化の程度には系統間差および個体間差が認められた.また,八重咲き花における明瞭な花模様の発現には萼由来花弁の弁化程度が影響しており,十分に発達した萼由来花弁では通常花弁と同様の形質が認められた.一重咲きと八重咲きのMADS-box遺伝子の発現量に違いが認められた一方,MADS-box遺伝子のプロモーター領域の塩基配列において,八重咲きに特徴的な配列は認められず,後天的な遺伝子制御機構の存在が示唆された.
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