種間障壁機構の解明は,種の障壁を打破して新種を創出するための基盤情報となる.本研究では,バラ科リンゴ亜連の主要果樹であるリンゴ(Malus)とナシ(Pyrus)における属間の交雑障壁を制御する遺伝基盤の解析を行った.ゲノムワイド解析によって,リンゴとナシの交雑障壁は第5染色体中部の単一遺伝子座に制御されることを明らかとした.この領域を対象として,ニホンナシとセイヨウナシの比較ゲノム解析を行ったところ,ニホンナシに特異的な大規模な挿入配列を検出した.種特異的かつ花粉で高発現する遺伝子群に加えて,アレル特異的な発現パターンを示す有力な候補遺伝子をリスト化した.
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