本研究は、植物RNAウイルス感染場における、細胞内プロトン恒常性維持に関わる宿主膜タンパク質複合体液胞型ATPアーゼの機能解析を目的とする。red clover necrotic mosaic virus (RCNMV) をモデルウイルスとした種々の解析から、RCNMVは複製酵素タンパク質を介して液胞型ATPアーゼに結合することでその細胞内局在を変化させ、ウイルス複製コンパートメントのpHを低下させることが示唆された。本成果は、植物RNAウイルスが液胞型ATPアーゼを標的とし細胞内プロトン恒常性を調節することで増殖に適した局所環境を整備するという、新規のウイルス増殖戦略を示唆する。
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