隔離された島嶼環境では鳥類の飛翔能力が低下することが知られている。しかし、伊豆諸島と小笠原諸島に生息するカラスバトの集団遺伝構造と翼形態を比較したところ、より隔離された小笠原諸島において、伊豆諸島よりも高い飛翔能力が維持されていることが示された。実際にカラスバトは生息地の島間を移動しており、島間移動のパターンが生息地の食物利用や繁殖季節と関連することから、生息地の多様な島嶼環境に適応した行動であると推察される。また、果実食であるカラスバトが島間を移動することにより、種子の長距離散布が行われることが示され、島間移動が島嶼環境の生態系の構成において重要な役割を果たすことが示唆された。
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