研究課題/領域番号 |
19K15866
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
柳川 亜季 明星大学, 理工学部, 助教 (90620469)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | レジスタンス / レジリエンス / SPEI / 脆弱性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、レジスタンスやレジリエンスに関して、これまで十分に考慮されてこなかった、発生確率別の極端現象について、レジスタンスおよびレジリエンスを目的変数に環境要素とそれらの交互作用を説明変数として、気候区分と土地利用区分から作成した土地被覆区分ごとにモデル化することである。そして、レジスタンスおよびレジリエンスを最大化するため、今後の予測される気象条件をモデルに入れ、優先的に取り組む土地管理オプションを提示することである。 本研究は全球を対象としたグリッドベースの研究であり、空間解像度は10km×10kmとする。1年目に取り組んだことは以下の通りである。 ・レジスタンスとレジリエンスの算出 1982年から2015年までの植生指数(GIMMS-NDVI3g)を用いて(15日毎)、月最大値から毎月のデータを生成し、年間最大NDVIとなる回数が最も多い月を各グリットで計算した。NDVIの年最大値を最も頻繁にとる月を解析対象月(NDVI最大月)とする。例えば、NDVIの年最大値として7月が最も多い場合、7月のNDVIの値を年間生産量とした。この7月を基準として、7月の平均NDVIとイベント年の7月のNDVIの差分を用いて、レジスタンスおよびレジリエンスを算出した。算出したレジスタンスおよびレジリエンスについて水バランスを示すSPEI(The Standardised Precipitation-Evapotranspirati on Index:標準化降水量蒸発散量指数)を使って(月毎)、5、10、25-75、90、95パーセントタイルに気象イベントを7分類する。SPEIは月データであるため、NDVIで決定された、NDVI最大月のSPEI(1982-2015年)を用いた。これらの成果は現在、そのデータ検証をしている段階であり、2020年度に公開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、具体的にあきらかにしたいことが3つあり、それらを一つずつ、3年間かけて、1年毎に進める予定である。本年度は、予定通り、3つのステップのうち、最初のステップである、①レジリエンス、レジスタンスの算出を終えることができたため、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度算出したレジスタンスおよびレジリエンスを目的変数とし、説明変数を18の環境要素とし、これらの交互作用も含め、変数選択をしたものについて、一般化線形モデルをつかってモデルを構築する予定である。変数の一つである、土壌の不飽和透水係数に関するパラメーターの補正もこれまでの申請者の複数の土壌におけるデータを用いて行う。モデルは、国別、気候区分および土地利用を考慮し、政策決定者や土地管理者が使いやすい土地被覆区分とする。このモデルにより、干ばつや降水量の多い年にレジスタンスやレジリエンスにどの環境要素(説明変数)がどの程度重要であるか定量的に示す予定である。以上が来年度の予定であり、再来年度はモデルを用いて、将来予測を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染拡大の影響をうけ、予定していた、学会発表が中止となったため、次年度使用額が0より大きくなった。また、次年度、積極的に学会発表および、研究成果の投稿を行う費用として充てる予定である。
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