研究課題
本課題では、高速・高信頼性の最適施業体系の探索手法の開発を目的としている。前年度において既に、①間伐の想定回数に応じた必要な繰り返し計算の推計、②グラフィックボード(GPU)を応用した並列計算手法の開発、を行った。本年度はさらに、①間伐実行林齢の変数化、②植栽密度の変数化、の2つのアプローチにより、最適化モデルの次元を実質的に減少させることで計算時間を短縮させる方法を検討した。前年度までの最適化モデルは間伐候補林齢を5年毎に固定しており、ある林齢における間伐率がほとんど0%のときに無間伐と見なしていた。このように最適化モデルを構成することで、グリッド探索と単純な比較ができ、開発した手法の高い信頼性が確認できた。しかし、①長伐期の場合には変数が多くなり計算時間が延びる、②間伐率の下限は0%から変えられない、などの問題があった。ところで現実世界に目を向けると、1伐期に行われる間伐回数はそれほど多くない。そのため、間伐候補林齢を変数とした最適化モデルは形式的には変数を増加させるが、実質的には最適化モデルの次元削減に寄与すると予想される。このような視点から最適化モデルに変更を加え、それに応じた最適化手法を開発した。開発した手法は前年度までの手法と比較して、より高速に最適解を与えた。同時に、最適植栽密度も探索可能とする拡張を行ったところ、最適な間伐回数が小さくなることで、さらに実質的な次元が減少して高速化される場合があることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
本課題は概ね滞りなく進展している。
本課題で当初計画していた、焼きなまし法以外の最適化手法の応用は順調には進まなかったが、本課題の目的であった、高速・高信頼性の最適施業体系の探索手法の開発は焼きなまし法を発展させることで順調に進み、概ね達成されたと考える。一方、最適施業体系の探索手法がどのように森林計画に寄与するのか、十分に明らかにされていないように思われる。そのため、最終年度は最適施業体系の探索手法を応用した森林計画手法について検討する。
旅費・人件費の出費が想定よりも少なかったため。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
Land Use Policy
巻: 108 ページ: 105674~105674
10.1016/j.landusepol.2021.105674
Computers and Electronics in Agriculture
巻: 191 ページ: 106494~106494
10.1016/j.compag.2021.106494
Journal of the Japanese Forest Society
巻: 103 ページ: 435~442
10.4005/jjfs.103.435